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おおかみこどもの雨と雪 を見ました

2012 年公開、細田守監督の映画おおかみこどもの雨と雪を見ました。
前作のサマーウォーズは劇場で何回も見たあげく友達に布教しまくったほど大好きな作品なのですが、今作はと言うと、おおかみこどもという今一よくわからないキーワードのせいなのか、なんとなく見ていなかったのです。

2013 年 2 月 20 日に Blu-ray、DVD が発売開始ということでまた話題になり、それなら見てみるかーと思って重い腰を上げたのでした。
…うん、面白かったです!

タイトルのおおかみこどもと言うのは、狼男と人間の子供、ということでした。狼男と言うとかなりファンタジー(もしくは怪奇的?)な空気が感じられてきますが、作中ではファンタジーな要素はそれこそ狼男の設定くらいしかなく、どちらかというと人間の成長に重点が置かれたホームドラマ的な印象が強かったです。主人公は花という大学生で、彼女が狼男と出会い、子供が生まれ、そして狼男が突然死んでしまったことから人目を避けて田舎に移り住み、二人の子供、雪と雨を育てていくというあらすじです。

こういう半分人間半分怪異という設定を見ると、PS ゲームサガフロンティアのアセルス編を思い出してしまいます。こちらは瀕死の少女が気まぐれに妖魔の血で一命を取りとめ、しかし半人半妖となってしまい、自分の道を選らんでいくというテーマがあります。

おおかみこどもでも、主人公の花が子育てや新しい環境での生活に奮闘するという主軸に加え、二人の子供が人間と狼のどちらの生き方を選ぶのかが大きく取り上げられています。

それだけでも分かる通り、この映画ではほぼ 3 人分の半生を描いています。それが 120 分に収まりきるわけもなく、所々はしょられたと見られるエピソードの影が見て取れます。
うん、前編後編にわけてもいいのでもっとたっぷり掘り下げて欲しかった…!!
見終わってすごく楽しめたと思う反面、直接描かれてはいないエピソードがどんなものだったのか気になって仕方がないです。それだけ引き込まれた作品だということですけども…。円盤にオリジナルエピソード追加とかだめですか?あ、もう発売されてますか、そうですか…。


以下、ネタバレとか気にせず観想を書きますのでご注意ください。


3 人の主要な登場人物にそって書いてみようかと思います。

二人兄妹の姉です。好奇心旺盛で活発、幼い頃から家の中やら庭先やら野山やらを駆け回って育ち、野性というか狼らしさ全開でした。それがある時ほかの子供が通っているらしいという幼稚園に興味を持ち、その後念願かなって小学校に通いだすのですが、そこでの同級生との生活で人間社会に大きく惹きこまれていきます。狼としての自分の身体のことや、まわりの同級生達にどう思われているかを気にしたりと、誰しも身に覚えがあるような経験をして、まさしく人として成長していきます。

雪にとってはやっぱり同級生の男の子の存在が大きかったようです。映画を見始めた当初から、個人的に狼と聞いて一番心配だったのが加減を見誤って人に噛み付くんじゃないかということだったのですが(こういうファンタジー制のない物語での流血沙汰とかもうやめてくださいというのが私の心境でした)、設定上避けては通れないというか、やはりというか、やっちまった訳です。

でもその相手がこの同級生君で本当に良かったなーと。すごい良いやつです、この子。もちろん幼さゆえの危うさみたいなものはあるのですけど、怪我をしてからはすごく大人っぽく描かれるようになります。雪も他の子供と暮らす中で、この同級生君もきっと成長してるんでしょうね。まだまだいろいろあったはずなので、その辺りを是非もっと見てみたいです。そういう機会があるといいなぁ。

こちらは二人兄妹の弟です。姉の雪とは対象的というか、子供の頃は外を走り回るより絵本とか読んでるおとなしい感じの子です。どちらかというとあまり野生的ではなく、人間の文化に興味が強かったようなのですが、それは人間社会には向かず、自然や動物達の世界に進んでいくことになります。

作中で雨が先生と呼ぶ狐が突然出てくるのですが、設定も登場も、なにこの少年漫画的な展開!?ここに来てファンタジー的バトル展開ですか!!てな感じで見ていてかなり熱くなってました。雨と野生動物達の話は絶対もっとあるはずなんです。主人公が花だから母親目線で子供は知らずに育っていくということなのかもしれませんが、視聴者としてはぜひそこんとこ詳しく知りたいです。スピンオフとかだめですか…??

閑話休題。
雪にも言えることですが、人間だけだったり、動物だけだったりというような一辺倒な育ち方をせず、それなりに両方を知りながらもそれぞれの行き方を選ぶというのがとても良かったです。知らずにその道だけ進むのと、別の道を知りつつも自分で選んで進むのとでは状況がだいぶ違うわけですが、二人の子供達はいろんなことを知りながら成長できたのだなーと。

それじゃあ何が似たような状況の二人の行き方を分けたのかというと、それは雪にとっては学校で、雨にとっては学校に行く代わりに見聞きしたいろいろなものだったようです。それぞれ興味の向くものが違ったためにこういう成長を経ていったわけですが、それにしてもやっぱり環境による影響って大きいんだなーと。まわりにある物に触れて育つんですもんね。
私の場合はやっぱり FF7 とサガフロなんだろうなー。ストーリーとか設定とかゲーム構成とか大好きでした。なんだかまた遊びたくなってきました。

雪と雨の母親です。二人の子供をたしなめる時もおだやかで優しく、ほとんど怒りません。しかし一方では細い身体で廃屋を住めるように直し、農作業で鍬を振るい、息をきらしつつも山とか登ってしまうというすごいお母さん。しかも老けない。子供が中学校に入るまでになってもほとんど変わらない。そういう要素は排除できてしまうのがアニメの良いところですね!

花に関しては育児で疲れる描写はあっても、ヒステリーやノイローゼになることはなくて、ひたすらふたりの子供のためにがんばり続けます。夫が狼男というくらい特異な境遇に立たされていたとはいえ、すさまじい人格です。花が育児に挫折するような生々しい展開も覚悟していたのですが、そういう展開にはならなかったのは、やはりアニメならではなのかもしれません。あまりそっちに寄ってしまうと他のテーマが薄らいでしまうので、個人的には良かったかなと思います。

花の方向性については、作中で出てくる「雪はどうしたいの?」という台詞にすべてが詰め込まれていると思います。親としてどう育って欲しいということではなく、子供自身に選んで欲しいという想いが花の行動の根底にはあるようです。もちろん親として子供の身を心配したり、社会で生きていくためのことを教えたりはしますが、最終的には二人の子供の生き方を受け入れ、それぞれが選んだ世界へ送り出していきます。
実際には母親も人間である以上、母親自身の思いを子供に強要してしまったりするものだと思うのですが、花は花自身の要求をあまり子供達に向けたりはしないのです。まさに母親の理想像を追及したかのようなキャラクター。すごいなー。

さてさて

そんなわけで、手に汗握る熱い展開のサマーウォーズとは対象的ですが、おおかみこどもの雨と雪、静かでとても心に残る映画でした。これはぜひともまた友達に布教しないとと思って、こうしてブログを書いているくらいです。物語の話ばっかりでまったく触れていませんでしたが、映像のほうもかなり綺麗でお勧めですよ。瓦屋根を流れ落ちる雨水や倉庫に並ぶ輸送トラックなどなど、細かいところもかなり精密に描かれています。あ、あとエンドロール見てたら林原めぐみも声優参加しててびっくりでした!
時をかける少女から細田監督の作品を見るようになりましたが、これは次回作にも期待してしまいそうです。



  雑記アニメ  コメント (0) 2013/03/10 00:08:34


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